主要政策のご紹介 11

 ■ 令和の刑事司法を変革する3つの運動




日弁連は、平成元年の松江の人権大会で①刑訴法40周年宣言と②消費者被害の予防救済を決議し、20年後、①現在の被疑者国選と②消費者庁を実現させました。松江宣言から30年後の令和元年の徳島の人権大会では、刑事司法に関する重要な決議が行われました。次は、令和刑事司法改革の運動の着手です。

■運動1 

 

再審法を改正する

―大崎事件や袴田事件など最近の司法判断には、弁護士として、冷静に大きな怒りがわきませんか!?

冤罪は国家による最大の人権侵害です。再審法(刑事訴訟法第4編)には詳細な手続規定がなく、裁判所の裁量が広すぎて、証拠開示の許否や判断自体に予測可能性がありません。審理は過酷な長さです。未だ再審法改正は実現していません。

しかし、近時、最近の松橋事件まで無罪の集積が進んでいます。

他方で、大崎事件、袴田事件、名張毒ぶどう酒事件など多数の未解決も存在しています。

  再審法改正の目標

(1)再審請求手続における全面的な証拠開示制度を整備する

(2)再審開始決定に対する検察官による不服申立てを禁止する

(3)日弁連に再審開始申立ての請求権を付与する

これらの事件は、(1)証拠開示が真実発見の死命を制するほど重要なこと、(2)検察官の不服申立てによる事件の長期化、裁判所構成により確定判決への維持固執には著しい落差が生じることを教えています。日弁連は、今こそ、情熱と怒りをもって再審法改正の運動を展開すべきです。

 

 

加えて、(3)日弁連に再審開始の請求権を認める法改正(刑訴法439)が必要です。これにより、冤罪被害者の相続人が「犯罪者の親族である」と公言する必要がなくなり、相続人の探索も不要となります。日弁連は、主体的な人権擁護活動を展開できるようになります。

■運動2  

取調べへの弁護人の立会いを実現する

被疑者の真の権利保障のためには、取調べへの弁護人の立会いが必要です。これは、世界の多くの国で当然の前提ですが、わが国では刑事司法の大変革となります。
取調べへの弁護人の立ち合いがあれば、真実と異なる供述は取られなかったはずであると、多くの弁護人が思うところです。ここは「弁護人の立会いを拒否されれば、被疑者の黙秘が続きます。」などの今後の弁護活動の実践集積を行うなどしながら、捜査機関の強い抵抗に負けることなく、捜査実務の変革と刑事訴訟法の改正に向けた運動を粘り強く展開する必要があります。

■運動3  

死刑制度の廃止と犯罪被害者支援

死刑制度廃止と被害者支援については、人それぞれ多種多様の心情があります。それを他人からとやかく言われる筋合いはありません。しかし、日弁連は、死刑のない社会が望ましいことを見据えて「制度」である死刑廃止を目指し、それとともに被害者支援制度を徹底して充実させるため、いずれの運動も丁寧かつ強力に展開すべきであると考えています。

私は、以前「被害者サポートセンターあいち」で被害者支援をしており、死刑存置論者でした。その後、死刑制度廃止に思いが変わった心理過程の概略をお話します。
冤罪事件と取り返しのつかない死刑制度は、どうしてもなじみません。DNA鑑定等が発達した現代でも冤罪の完全な撲滅は期待できません。
では、犯罪事実が明確で冤罪の危険がない重大事件については、どう考えるようになったのか。韓国は、「恨(ハン)の文化」を持ち、また、親族の死により激しく嘆き悲しむ姿が印象的ですが、死刑執行はしていません。また、世界の3分の2の国が死刑制度廃止か死刑不執行です。韓国や世界の3分の2は、親や子を思わないか。そんなはずはない。そうだ、死刑は「制度」の問題であり、心情とは別なのだと考えるようになりました。
現在、死刑制度廃止運動とともに「犯罪被害者支援庁」の設置を求める意気込みで被害者支援活動を推進する。いずれも日弁連の果たすべき重要な役割だと確信しています。  (文・川上明彦)